Impact & Expertise

営業TQM

「わが社の営業の生産性は極めて高い」と胸をはれる経営者は何人いるでしょうか?

TQMは日本企業の「お家芸」ともいえるものですが、工場の外にはあまり活かされていません。このTQMの視点を営業現場に持ち込み、飛躍的に営業の生産性を上げていく手法が「営業TQM」です。そのポイントは、まず、企業の戦略目標に合った営業の勝ちパターンを、結果としての売上ではなく、売上につながるプロセス(「売上方程式」)でとらえること。そして、実際に現場を変革するために、コーチングとモニタリングによって愚直なまでに実行を徹底する体制をつくりあげることです。

基本コンセプト

通常、BCGの営業TQMは、 

1. 現場の状況把握
2. 対策の具体化
3. トレーニング
4. 実行

という四つのステップで進めますが(図1)、実際に営業現場の行動を変えるために特に重要なのが次の二つのポイントです。

  • 売上に直接影響する要因を特定、勝ちパターンとなる「売上方程式」を定義

    営業力の向上といっても、具体的にどこをどう改善すれば売上に最もインパクトが出るのか見当がつかない、という場合も多いでしょう。
    そこで、BCGの営業TQMでは、まず売上に直接影響する要因を因数分解して、「売上方程式」を定義することから始めます。
    結果としての売上ではなく、売上につながるプロセスをモニタリングするのです。たとえば、産業財メーカーA社の場合、「売上方程式」を次のように定義しました(図2)。

    「営業担当者1人当たりの売上高」
    = (1) 「営業担当者1人当たりの顧客訪問数」
     ×(2) 「セールストーク認知率※」
     ×(3) 「認知セールストーク当たりの売上高」 
    ※(「顧客が認知したセールストークの数」÷「営業担当者が申告したセールストークの数」) 

    次に、(1) (2) (3) のそれぞれの要因について、他社をベンチマークしたり、自社の中で成績の良い営業担当者と悪い営業担当者のデータを比較したりしながら、どの因数で一番問題が大きいのかを特定しました。
    打ち手の実効性を上げるために重要なのが、最優先に取り組むべき課題を特定し、そこに集中して改善策を実施することです。複数の課題を一度に解決するよりも、一つの課題に集中して一つずつ改善策を実行した方が成果が上がる場合が多いからです。

  • 「現場コーチング」と「KPIダッシュボード」による実行の徹底

    A社の例では、(1) の顧客訪問数(活動量)が最大の課題だと判明しました。しかし、営業担当者に「トップクラスの競合企業と同じくらいに顧客を訪問せよ」と号令をかけるだけでは、営業現場の行動は変わりません。どれだけ有効な「売上方程式」を定義したとしても、現場で実行されなければ全く意味がありません。そこで、BCGの営業TQMでは、実行を徹底させるための二つのカギをプログラムに織り込んでいます。

    • 現場コーチング
      一つ目のカギは、営業担当者の直接の上司である課長やリーダーによるOJT、「現場コーチング」です。
      多くの企業で、営業現場の管理職が部下の売上成績を集計する「数字集め」に終わっており、部下に対して、売上を達成するプロセスを把握して具体的に指導をする経験や能力が不足しているのが実情です。そこで営業TQMでは、現場担当者のコーチングに先立ち、中間管理職のトレーニングを徹底的に実施します。担当者への指導方法やトラブル処理法などを徹底的に指導することで、はじめは、「部下に対して自信を持って指導できなかった」中間管理職が、営業現場改革の要となる「コーチ役」へと変わっていきます。

    • 「KPIダッシュボード」
      もう一つのカギは、営業TQMの進捗状況や結果を定量化してモニターする仕組みです。
      A社の例では、売上方程式で示した三つの指標をKPI(Key Performance Index)として採用し、これらを常時測定する仕組みを導入しました。そして、役員や営業部門全員が三つのKPIの毎月の進捗・改善状況を、「どの営業所のどの課長の下のどの営業担当者」というレベルまで具体的に見られるようにしました。進捗・結果の透明性を高めることで、営業現場が「言い訳できない」状況をつくり上げ、「モニター→フィードバック→コーチング」というサイクルを徹底させていくのです。

A社では、この一連の打ち手を実行した結果、全体の活動量が前年比で60%増となり、販売計画を10%以上上回る売上を達成しました(図3)。 

最近のプロジェクト事例
BCGでは、金融、消費財、医薬、産業財、ハイテク、通信などさまざまな業界で、営業生産性向上、営業現場改革のお手伝いをしています。最近のプロジェクト事例として代表的なものを図4にあげます。

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