BCGが行った調査研究によると、M&A失敗の二大原因は、戦略性の欠如と、M&A後の統合マネジメントの失敗です(図1参照)。
M&Aを成功させるためには、
(1)M&Aの戦略意図の明確化と、戦略意図と一貫したM&Aの実行
(2)ツボを押さえたM&A後の統合マネジメント
の二つが極めて重要といえます。
M&Aの戦略意図の明確化と、戦略意図と一貫したM&Aの実行
魅力的に見える持ち込み案件に飛びつき、「何のためにM&Aをするのか?」という戦略意図が不明確なままM&Aを行ってしまうケースが、意外に多く見受けられます。このような場合、往々にして、合併・買収後に実は「戦略的フィット」や「シナジー」が大してないことが判明し、市場からも評価されず、逆に株主価値を破壊するという結果に陥りがちです。
持ち込み案件を否定するわけではありません。投資銀行が良い案件を持ち込んでくれるような関係を構築することは重要です。ただし、単に投資銀行の言いなりになるのではなく、自社としての成長戦略の青写真をしっかり描く必要があります。今回の案件が全体戦略との関係でどんな意味を持つのか、また、ターゲット企業の強み・弱みが戦っている市場のKSF(Key Success Factor:成功要因)にどう関連しているのかを明確に整理したうえで、意思決定を行うことが重要です。
ツボを押さえたM&A後の統合マネジメント
「M&Aの真の価値は、“案件”そのものにあるのではなく、その後の統合化の成功によってもたらされる」(エコノミスト誌)。せっかく戦略的に意味のあるM&Aでも、案件をクローズすることにほとんどのエネルギーを傾けてしまい、その後の統合で失敗してしまう例が非常に多く存在します。
BCGでは、M&A後の統合マネジメントを、PMI(Post Merger Integration)と呼んでいます。PMIのプロセスは通常のビジネスプロセスとは全く別物です。経営トップの十分な関与の下、スピーディーに統合プロセスを回していく必要があります。
BCGの経験に基づくPMI成功のツボは以下の9つです。
1. M&Aによって何を達成したいのかを明確に定義する
2. 統合化プロセスは通常のビジネスとは切り離して設計する
3. 組織への浸透化を図る
4. 統合化“専任”チームを設ける
5. 明確な組織体系を早期に設計する
6. 企業運営の新しい枠組みを作る
7. 目指すべき合併効果の目標値を設定する
8. 効果的な人事マネジメントプロセスを早急に構築する
9. 明確な社内コミュニケーションを行う